Title: 原子力発電所事故現場に何故ロボットを送り込めないのか

原子力発電所事故現場に何故ロボットやUAV(Unmanned Aerial Vehicles)を送り込まないのか、という疑問を抱いていらっしゃる方が少なくないと思います。私もその一人です。
自衛隊員、消防隊員、電力会社関連社員などのみなさんの命を危険にさらさずに、ロボットやUAVに作業させることはできないのでしょうか。
残念ながら、これは、ロボットの知能の問題ではなく、ロボットの身体の問題で、私の専門領域から外れてしまいますため、私は正確な答えを持っておりません。
今日届いたIEEE(米国電気電子学会) Spectrumの電子版http://spectrum.ieee.org/automaton/robotics/industrial-robots/japan-robots-to-fix-troubled-nuclear-reactorsにその解説が載っていましたので、そちらをご覧いただければと思います。

等々が解説されています。

すみません、現時点では、私からのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

         2011年3月24日 堀 浩一 (東京大学)

追記:
2011年4月6日
 日本ロボット学会などから、 日本ロボット技術関連学術団体共同声明:  東日本大震災およびそれに伴う福島原子力災害に対する日本のロボット技術の適用に関する声明 というのが出されました。


以下は、「堀浩一のひとりごと」という項目に書いたことですが、関連するので、ここにもコピーしておきます。

2011年4月11日
 今回の地震と津波が「想定外」であったというのは、まったく許せない言い訳だ、という批判が強くなってきております。私は、その批判は正しいと思います。
 システム屋の感性からすれば、今回の事態は「想定内」であるべきだったと思います。
 が、事故が起こったあとに批判することは誰にでもできることです。この機会に、今あまり問題にされていない他の「想定外」扱いの問題も、見直してみてはいかがでしょうか。
 ソフトウェアの二千年問題の時、誰も一万年問題を口にしませんでした。一応、私は、「この際、プログラムの年号の変数の桁数をさらにもう一桁増やして一万年問題にも対処しておいたらどうかな」と、言ってみましたが、今後八千年使われるソフトなんか無いよ、と皆が冗談扱いにしかしませんでした。まあ、私も冗談でしたが、二千年問題の時に一万年問題に想像を巡らすのが、システム屋の正しい感性だろうとは思います。
 今回の震災でtwitterが役に立ったので、役所でもtwitterを使うことの検討を始めるという記事を目にしました。しかし、システム屋ならば、twitterが高信頼度のシステムだとは誰も思っていないはずだと思います。いつ無くなったり死んだりしてもおかしくないシステムに頼ろうなんて、馬鹿げています。本気でtwitterのようなシステムを災害対策に使いたいのならば、強固なシステムを自分たちで構築すべきだと思います。
 金融オンラインシステムはいつ死んでもおかしくないと、システム屋さんたちは昔から言っていました。これは、あっさりと実際に起こってしまいました。
 インターネットもいつ死んでもおかしくないシステムです。ネットワーク屋さんたちが、ぎりぎりのところで日々がんばっています。
 学術情報の流通も危機に瀕しています。これは知っている人しか知らない大問題なので、あらためてきちんと書かせていただきたいと思います
 そのほかにも、知っている人だけが知っている「想定外」扱いの問題がたくさんありそうです。
 今回の原子力発電所の事故はかなり単純な失敗だと言ってよいのではないかと思いますが、今後起こる「想定外」の問題の多くは、システムが大規模で複雑になっていることに起因する問題で、人間による手作業だけでは防いだり対処したりすることが難しい恐れがあります。おそらくは、そこに、発想支援やデータマイニングやオントロジーなどの人工知能の研究成果を統合したシステムを用いざるをえないのではないかと思います。かつて我々のグループが提案した大規模複雑システムの設計と運用および失敗防止のための人工知能システムの研究プロジェクトには予算がつきませんでしたが、予算が無くても、できるところからもう一度始めてみたいと思います。


2011年4月1日
 飛行機はたまに落ちますが、飛行機は作られつづけ人々は飛行機に乗りつづけています。自動車は毎年国内だけで何千もの人を殺していますが、自動車は作られつづけ人々は自動車に乗りつづけています。

 それと同様に、今回の原子力発電所の事故の後も原子力発電所が作られつづけるということは、ありうるでしょうか?

 私自身を含めた一般の人々の素朴な感情として、それはありえないだろうと思います。

 これは、科学的な安全性の問題ではなく、人々と技術の間の信頼関係の問題です。
自動車の場合、人々はどういう使い方をすればどれだけ危険でどういう範囲では安全かをだいたい知っています。
航空工学の専門家は、飛行機が「絶対安全」だと言ったことはなく、旅客機の事故の確率はこれだけ、軍用機の事故の確率はこれだけ、と公表しています。
一般の人々が、その確率を体感的に納得しているとは言えないと思いますが、でも、過去の飛行機事故の例などから、飛行機の怖さはこの程度とだいたいは納得して、飛行機に乗っていると思われます。

 それらと違って、どういうわけか、原子力発電所の場合は、「絶対安全」だと人々には伝えられてきました。科学技術の世界で「絶対」などということがありうるはずがなく、おそらくは、技術者は正直に確率を言っていたのではないかと思うのですが、電力会社の経営陣も政府も、「絶対安全」と言い切ってしまっていたようですよね。少なくとも、人々はそう言われてきたと思っています。

 人間どうしの信頼関係と同様、人々と技術の間においても、いったんこわれてしまった信頼関係を取り戻すことは容易でないだろうと思います。裏切られたという思いが強ければ強いほど信頼関係の回復は難しいと思います。

      堀 浩一 (東京大学)



Author: Koichi Hori


 

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